お久しぶりなお客さま
今日も、いつもどうりお客様をのせ運転していた。
遠くで、手を挙げて待っている人がいた。
同い年くらいだろうか、そんな事を思いながら、タクシーを止め、彼女を乗せた。
いつもどうりたわいもない話をしていたが、
偶然にも、目的地が私の昔住んでいた街で、会話も弾んだ。
昔の話していると、私も知っている話が出てきた。
まさかとは思い恐るおそる、年齢を聞いてみた。
「63歳です。」と彼女は答えた。
同級生だった。
彼女は、紛れもなく小学生の頃私が、初恋をしていた女性であった。
少し、いや、かなり嬉しかった。
だが、私も仕事中だ。彼女を無事送り届けなければ。
そう思いつつも送り届けるまでたくさん、いろんなつもる話をした。
彼女が、旦那さんが亡くなっていて、今は、一人だという事。
孫までいるが、遠くに住んでいてあまり会えない事。
そんな話をする彼女は、嬉しそうな表情の中に、少しさみしそうな顔をしていた。
彼女を無事送り届け、思わず名刺を渡してしまった。
彼女から連絡は、くるだろうか。
どこかに行くためでもいい、彼女を少し支えたいなどと思ってしまった。
もしかしたら、会えないかもしれないが、それはそれで運命だろう。